認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の概要

サービス内容や入居条件、入居費用などについて。

要支援2 要介護
更新日:2021/04/06
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認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは

認知症高齢者グループホーム(以下、「グループホーム」と表記します)とは、認知症の高齢者を受け入れ、専門的なケアを提供する小規模な施設です。

この施設では、利用者が少人数単位で共同生活を行い、介護スタッフと共に家事などを行うことで認知症の進行緩和を図ります。

認知症対応型共同生活介護

認知症対応型共同生活介護とは、グループホームで提供される入浴や食事等の介護、機能訓練、生活支援などのサービスです。

※要介護者向けのサービスは「認知症対応型共同生活介護」、要支援者向けのサービスは「介護予防認知症対応型共同生活介護」といいます。(以下、この2つを合わせて「認知症対応型共同生活介護」と表記します)

施設の形態

グループホームには「戸建タイプ」「アパートタイプ」「マンションタイプ」などの形態があります。いずれも小規模であり、認知症患者が安心して暮らせるよう家庭的な環境が作られています。

入居定員は1ユニットあたり「5~9人」で、1つの施設は「原則1~2ユニット」で構成されています。(都市部では「3ユニット」で構成されている場合もあります)

※このユニットのことを「共同生活住居」といいます。

入居対象者

65歳以上で「要支援2」または「要介護1~5」の認定を受けている人のうち、医師から認知症の診断を受けている人が対象となります。

また、この施設は「地域密着型施設」となるため、施設が設置されている市区町村に住民票を置いている必要があります。

※医療依存度の高い人や、重度の認知症により共同生活が困難な人の場合は、施設側で対応できない可能性が高くなります。

概算費用

グループホームの初期費用は、敷金として家賃の数か月分を支払うことが多くなります(初期費用がかからない施設も多いです)。月額費用については立地場所による違いが大きく、郊外では十万円台前半、都市部では十万円台後半から、といった印象です。

初期費用 0~数十万円
月額費用 10万円~25万円

グループホームの利用には次の費用がかかります。

初期費用 + 月額介護サービス費 + 食費・家賃 + 管理費等 + 日常生活費・他

初期費用
敷金などの形で、入居時に10~30万円程度の費用が必要となる場合があります。(初期費用がかからない施設も多いです)
介護サービス費
介護サービスにかかる費用は、「認知症対応型共同生活介護」で規定された金額になります。(この費用は介護保険が適用されるため、利用者は1~3割の自己負担で済みます)
食費・家賃
食費と家賃の金額は施設により異なります。特に家賃については、立地場所や部屋の広さなどにより大きく異なります。
管理費等
管理費、共益費、水道光熱費などです。(施設により異なります)
日常生活費・他
日用品代、理美容代、おむつ代などが必要に応じてかかります。

部屋のタイプ

部屋のタイプは「原則個室」です。

※1人あたりの床面積の規定は「7.43㎡(約4.5畳)以上」となります。

グループホームのサービス内容

グループホームでは、主に次のサービスを受けることができます。

サービス内容
  • 食事の提供
  • 食事、排泄、入浴などの介助
  • 生活相談
  • 生活支援(掃除、洗濯、等)
  • 機能訓練
  • レクリエーション
  • 緊急時の対応

※食事の準備、掃除、洗濯等の家事については、認知症の進行を緩和する目的で、入居者と介護スタッフが共同で行うような形になります。

グループホームは認知症に特化した施設のため、認知症に詳しいスタッフから適切な「認知症ケア」を受けることができます。

医療機関との提携や看護師を配置するなどして、健康管理に力を入れている施設もあります。

介護サービス費の目安

認知症対応型共同生活介護の1日あたりの基本料金は次のようになります。

※施設のユニット数や利用者の要介護度により料金は異なります。

要支援者の基本料金

「要支援2」の認定を受けている人の料金です。

ユニットが1つの場合
利用者の要介護度(上段) 自己負担額(1日)(下段)
要支援2 760円
ユニットが2つ以上の場合
利用者の要介護度(上段) 自己負担額(1日)(下段)
要支援2 748円

要介護者の基本料金

「要介護1~5」の認定を受けている人の料金です。

ユニットが1つの場合
利用者の要介護度(上段) 自己負担額(1日)(下段)
要介護1 764円
要介護2 800円
要介護3 823円
要介護4 840円
要介護5 858円
ユニットが2つ以上の場合
利用者の要介護度(上段) 自己負担額(1日)(下段)
要介護1 752円
要介護2 787円
要介護3 811円
要介護4 827円
要介護5 844円

共通事項

食事代や部屋代などは介護保険の適用外となるので、それらの費用は自費で負担する必要があります。

  • ※上記の自己負担額は利用者負担割合が「1割」の場合の金額です。
  • ※基本料金の他に複数の加算項目が設定されています。
  • ※サービスを利用する地域(地域区分)により利用料金は異なります。

入居費用のイメージ

参考までに、3つのケースを想定して入居費用のサンプルを作成してみました。

  • ※下記の入居費用は、実在するグループホームをベースとしたイメージです。(日常生活費などは含みません)
  • ※介護サービス費の金額は、利用者の状況(要介護度等)などにより異なります。

ケース1

地方都市にあるグループホームの場合。

  • 所在地:地方都市
  • 部屋のタイプ:個室 10㎡
初期費用 0円
月額費用 174,000円 + 日常生活費等
  • 家賃:70,000円
  • 食費:37,000円
  • 管理費等:42,000円
  • 介護サービス費:25,000円前後

ケース2

首都圏にあるグループホームの場合。

  • 所在地:首都圏
  • 部屋のタイプ:個室 10㎡
初期費用 300,000円
敷金として
月額費用 243,000円 + 日常生活費等
  • 家賃:110,000円
  • 食費:54,000円
  • 管理費等:54,000円
  • 介護サービス費:25,000円前後

ケース3

郊外にあるグループホームの場合。

  • 所在地:郊外
  • 部屋のタイプ:個室 11㎡
初期費用 0円
月額費用 114,000円 + 日常生活費等
  • 家賃:35,000円
  • 食費:33,000円
  • 管理費等:21,000円
  • 介護サービス費:25,000円前後

短期利用について

施設によっては、空室を利用した「短期利用」を行っている場合があります。(グループホームにおけるショートステイ)

連続利用日数は最大で「30日」までで、「要支援2」と「要介護1~5」の人が利用できます。

※これを「短期利用認知症対応型共同生活介護」といい、一定の要件を満たしたグループホームにおいて実施が可能となります。

1日あたりの基本料金は長期利用時よりも少し高くなります。(短期利用時のサービス費は「支給限度額」の対象となります)

著者情報

高橋 永治(たかはし えいじ)

介護情報サイト「介護Ways」の運営者。

1996年、自身にとって初となるWebサイトを立ち上げ、98年からは企業向けのWebサイト制作サービスを開始。現在は企業サイトの運営管理、および複数の自サイトの運営管理を行っている。

親が認知症になってからは介護の世界に関心を持ち始め、介護保険制度について調べていくうちに「この複雑で分かりにくい情報を整理したい」という思いに駆られ、10ヶ月に渡る制作期間を経て2020年1月に介護Waysを公開。「簡潔に分かりやすく」がモットー。