地域密着型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)の概要

サービス内容や入居条件、入居費用などについて。

要介護3以上
更新日:2021/06/03
共有
Twitter
Facebook
LINE

地域密着型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)とは

地域密着型特別養護老人ホーム(以下、「地域密着型特養」と表記します)とは、入居定員が「29人以下」の小規模な特別養護老人ホームです。

基本的に「重度の要介護」「認知症」「終身利用」に対応していますが、高度な医療ケアを必要とする人は入居が難しくなる場合があります。

※この施設は「小規模特養」と呼ばれる場合もあります。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護とは、地域密着型特養で提供される入浴や食事等の介護、機能訓練、療養上の世話などのサービスです。

施設の形態

地域密着型特養には、大きく分けて「単独型」と「サテライト型」の2つの形態があります。

単独型
単独で運営されている地域密着型特養です。
サテライト型
本体施設と密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営されている地域密着型特養です。
  • 本体施設となるのは、同一の法人が運営する特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、病院・診療所のいずれかです。
  • 本体施設から通常の交通手段を利用して概ね20分以内の距離に設置することとされています。
  • 本体施設と連携することを前提にしているため、人員の配置基準や設備基準が緩和されています。

入居対象者

65歳以上で原則「要介護3~5」の認定を受けている人のうち、在宅での介護が困難な人が対象となります。

ただし、下記のいずれかに該当する場合は、「要介護1・2」の人も「特例入所対象者」として入居の対象となります。

特例入所の条件
  • 認知症により日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態である。
  • 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態である。
  • 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態で、在宅生活が困難な状態である。
  • 単身世帯である、同居家族が高齢または病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態である。

また、この施設は「地域密着型施設」となるため、施設が設置されている市区町村に住民票を置いている必要があります。

概算費用

地域密着型特養は公的な介護保険施設のため、初期費用は不要で月額の費用も低めに抑えられています。また、「特定入所者介護サービス費」の対象施設となるため、低所得の人は食事代と部屋代の負担が軽減されます。(条件を満たしている場合)

初期費用 なし
月額費用 6万円~17万円

地域密着型特養の利用には次の月額費用がかかります。

施設サービス費 + 食費・居住費 + 日常生活費・他

施設サービス費
介護サービスにかかる費用のことで、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」で規定された金額になります。(この費用は介護保険が適用されるため、利用者は1~3割の自己負担で済みます)
食費・居住費
食費と居住費(部屋代)は全額自己負担となります。居住費は部屋のタイプによって変動します。
日常生活費・他
日用品代、理美容代、レクリエーション費などが必要に応じてかかります。

※おむつ代は「施設サービス費」に含まれるため、別途負担はありません。

部屋のタイプ

部屋のタイプは次の4つです。(どのタイプが利用できるかは施設により異なります)

従来型個室
一般的な個室
多床室
2~4人で利用する相部屋
ユニット型個室
ユニットケアを導入している個室
ユニット型個室的多床室
ユニットケアを導入している個室風の多床室(完全な個室ではなく、多床室を間仕切りで区切ったスペースになります)

ユニットケアとは、10人ほどの利用者で1つのユニットを形成し、各ユニット単位で共同生活を送る仕組みのことです。共用スペース(リビング等)がユニットごとに設置され、それに隣接する形で各部屋が配置されています。

※1人あたりの床面積の規定は「10.65㎡(約6.5畳)以上」となります。

地域密着型特養のサービス内容

地域密着型特養では、主に次のサービスを受けることができます。

サービス内容
  • 食事の提供
  • 食事、排泄、入浴などの介助
  • 生活相談
  • 生活支援(掃除、洗濯、等)
  • 機能訓練
  • 健康管理(健康状態の確認、服薬管理、医療機関との提携、等)
  • 療養上の世話
  • レクリエーション
  • 緊急時の対応

施設サービス費の目安

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の1日あたりの基本料金は次のようになります。

※部屋のタイプや利用者の要介護度により料金は異なります。

施設サービス費
部屋のタイプ[上段] 自己負担額(1日)[下段]
ユニット型個室
ユニット型個室的多床室
要介護1
661円
要介護2
730円
要介護3
803円
要介護4
874円
要介護5
942円
従来型個室
多床室
要介護1
582円
要介護2
651円
要介護3
722円
要介護4
792円
要介護5
860円

※「要介護1・2」の人は、「特例入所対象者」となる場合に利用することができます。

食事代や部屋代などは介護保険の適用外となるので、それらの費用は自費で負担する必要があります。(費用の目安は基準費用額をご覧ください)

  • ※上記の自己負担額は利用者負担割合が「1割」の場合の金額です。
  • ※基本料金の他に複数の加算項目が設定されています。
  • ※サービスを利用する地域(地域区分)により利用料金は異なります。

食事代と部屋代を含めた料金のサンプル

参考までに、食事代と部屋代を含めた月額を次の条件で計算してみました。(1ヶ月=30日で計算)

  • 部屋のタイプ:ユニット型個室
  • 食事代と部屋代には「基準費用額」を使用

計算式:施設サービス費(1割負担) + 食事代と部屋代 = 合計額
(食事代 = 43,350円/月、部屋代 = 60,180円/月)

利用者の要介護度[上段] 自己負担額(月額)[下段]
要介護1 19,830円 + 103,530円 = 123,360円
要介護2 21,900円 + 103,530円 = 125,430円
要介護3 24,090円 + 103,530円 = 127,620円
要介護4 26,220円 + 103,530円 = 129,750円
要介護5 28,260円 + 103,530円 = 131,790円

以下は「特定入所者介護サービス費(第2段階)」の適用を受けた場合の月額のサンプルです。

(第2段階:食事代 = 11,700円/月、部屋代 = 24,600円/月)

特定入所者介護サービス費(第2段階)の適用を受けた場合
利用者の要介護度[上段] 自己負担額(月額)[下段]
要介護1 19,830円 + 36,300円 = 56,130円
要介護2 21,900円 + 36,300円 = 58,200円
要介護3 24,090円 + 36,300円 = 60,390円
要介護4 26,220円 + 36,300円 = 62,520円
要介護5 28,260円 + 36,300円 = 64,560円

高額介護サービス費」の適用を受けた場合は、更に安くなる可能性があります。

※上記の金額は目安としてご覧ください。(各種の加算費用、理美容代、日用品代などは含まれていません)

著者情報

高橋 永治(たかはし えいじ)

介護情報サイト「介護Ways」の運営者。

1996年、自身にとって初となるWebサイトを立ち上げ、98年からは企業向けのWebサイト制作サービスを開始。現在は企業サイトの運営管理、および複数の自サイトの運営管理を行っている。

親が認知症になってからは介護の世界に関心を持ち始め、介護保険制度について調べていくうちに「この複雑で分かりにくい情報を整理したい」という思いに駆られ、10ヶ月に渡る制作期間を経て2020年1月に介護Waysを公開。「簡潔に分かりやすく」がモットー。