高額介護サービス費の概要

所得区分と負担上限額の一覧、制度の利用方法について。

更新日:2021/08/01
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高額介護サービス費とは

高額介護サービス費とは、介護保険サービスの利用者負担額が一定金額を超えた場合に、その超えた分が払い戻されるという制度です。

この制度を利用することで、1ヶ月あたりの自己負担額を一定の金額内に抑えることができます。

対象となる費用と対象外の費用

次の費用が「高額介護サービス費」の対象となります。

対象となる費用
  • 1ヶ月の間に発生した介護保険サービス費のうち、実際に支払った自己負担分(1~3割)

ただし、次の自己負担分は対象外となります。

対象外の費用
  • 福祉用具購入費の自己負担分
  • 住宅改修費の自己負担分

また、介護保険の給付対象とならない次の費用も、高額介護サービス費の対象外となります。

対象外の費用
  • 支給限度額を超えた全額自己負担分の費用
  • 施設利用時の食費や居住費等
  • その他、介護保険の適用外となるサービスの費用

所得区分と負担上限額

介護保険サービスの利用者負担額は、高額介護サービス費制度によって「所得区分」に応じた1ヶ月あたりの「負担上限額」が設定されています。

1ヶ月の自己負担額が下記の「負担上限額」を超えた場合には、その超えた分が指定口座に払い戻されます。

所得区分に応じた負担上限額の一覧(月額)
所得区分[上段] 負担上限額[下段]
(1)課税所得690万円(年収約1,160万円)以上の人 140,100円(世帯)
(2)課税所得380万円(年収約770万円)以上 ~ 課税所得690万円(年収約1,160万円)未満の人 93,000円(世帯)
(3)課税所得145万円(年収約383万円)以上 ~ 課税所得380万円(年収約770万円)未満の人 44,400円(世帯)
(4)一般(上記以外で、世帯の誰かが住民税を課税されている人) 44,400円(世帯)
(5)世帯の全員が住民税非課税の人 24,600円(世帯)
(6)世帯の全員が住民税非課税で、本人の課税年金収入額とその他の合計所得金額の合計が年間80万円以下の人、または老齢福祉年金を受給している人 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
(7)生活保護を受給している人 15,000円(個人)

負担上限額に「世帯」と記載されているものは、個人ではなく世帯単位の上限額として設定されています。世帯内に介護サービスの利用者が複数いる場合は、それぞれの負担額を合算した金額によって、上限を超えているかどうかが判定されます。「個人」と記載されているものは個人単位の上限額として設定されています。

(1)(2)(3)における「課税所得」は、世帯の中で最も所得が高い第1号被保険者(65歳以上)の所得が対象となります。

(6)に該当する人は、世帯内で介護サービスの利用者が1人の場合は「個人」、複数いる場合は「世帯」の上限額となります。

高額介護サービス費の利用方法

1ヶ月の利用者負担額が「負担上限額」を超えると、約2~3ヶ月後に、役所から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてきます。

※上限を超えたかどうかは役所側で把握しています。

届いた申請書に必要事項(振込先となる口座情報等)を記入して、役所の担当窓口に提出します。(郵送も可能)

申請書の提出は最初の1回だけでよく、それ以降は払い戻しが発生する度に自動的に指定口座へ振り込まれるようになります。

著者情報

高橋 永治(たかはし えいじ)

介護情報サイト「介護Ways」の運営者。

1996年、自身にとって初となるWebサイトを立ち上げ、98年からは企業向けのWebサイト制作サービスを開始。現在は企業サイトの運営管理、および複数の自サイトの運営管理を行っている。

親が認知症になってからは介護の世界に関心を持ち始め、介護保険制度について調べていくうちに「この複雑で分かりにくい情報を整理したい」という思いに駆られ、10ヶ月に渡る制作期間を経て2020年1月に介護Waysを公開。「簡潔に分かりやすく」がモットー。