同居の親を「世帯分離」することで負担額を下げられる

生計を分けて暮らしている場合に有効です。

更新日:2020/01/18

世帯分離とは

世帯分離とは、同居している状態で住民票の世帯を分けることをいいます。

同居する親子が世帯分離を行った場合、同じ住所に「親の世帯」と「子の世帯」が存在することになり、それぞれに世帯主が登録されることになります。

※この世帯分離は、同居していながら生計を分けて暮らしている場合に行うことができます。

世帯分離によって負担額を下げられる

介護保険利用時の自己負担額は、世帯員の所得を合算した「世帯所得」によって決まります。

親と子が同一世帯の場合は、親子の所得を合算したものが「世帯所得」となり、その世帯所得によって各種の負担額が決まることになります。そのため、親の所得が低かったとしても、子に一定の所得がある場合には、親の介護費用が高額になってしまうことがあります。

「世帯分離」を行っている場合は、親世帯の「世帯所得」のみが対象となるため、親の所得が低ければ負担額も下がることになります。

軽減できる費用

世帯分離を行うことで、下記の費用を大幅に軽減できる可能性があります。

高額介護サービス費
親が住民税非課税であれば、介護サービス費用の負担上限額が下がります。
特定入所者介護サービス費
親が住民税非課税であれば、介護保険施設における食費と部屋代の負担が軽減されます。(一定額以上の預貯金等がある場合は対象外)

親が「住民税非課税」であるかどうかが、世帯分離を行う際の1つのポイントになります。親が住民税非課税であれば、世帯分離後の親世帯は「住民税非課税世帯」という扱いになり、費用の負担が大幅に軽減されるようになります。(どの程度介護サービスを利用するかにもよりますが)

「住民税課税世帯」と「住民税非課税世帯」では、自己負担額は次のように変わります。(住民税非課税世帯の金額は、年間所得が80万円以下の場合のものです)

高額介護サービス費(月額)
住民税課税世帯[上段] 住民税非課税世帯[下段]
44,400円 15,000円

上記は、介護保険サービスを利用した際の自己負担の上限額です。これを超えて自己負担した分は、申請により払い戻されます。

特定入所者介護サービス費(月額 = 30日で計算)
住民税課税世帯[上段] 住民税非課税世帯[下段]
101,940円
基準費用額
36,300円

食費 + 部屋代

上記は、介護保険施設に入所した際の食費と部屋代の合計金額です(ユニット型個室の場合)。

特別養護老人ホームの入居費用(月額 = 30日で計算)
住民税課税世帯[上段] 住民税非課税世帯[下段]
125,280円 51,300円

食費 + 部屋代 + 施設サービス費

上記は、要介護3で1割負担の人が特別養護老人ホームに入居した場合の費用(目安)です。(ユニット型個室の場合)

※住民税非課税世帯の金額は、「高額介護サービス費」と「特定入所者介護サービス費」を適用したものになります。

世帯分離のデメリット

特定の状況下ではメリットの大きい「世帯分離」ですが、人によっては以下のようなデメリットが生じるので注意が必要です。

高額介護サービス費の合算ができなくなる

親世帯と子世帯の両方に介護サービスの利用者がいる場合、同一世帯であればそれぞれの負担額を合算することができますが、別世帯の場合はそれができなくなります。

そのため、状況によっては負担額が増えてしまうことがあります。

国民健康保険料が増える可能性がある

親子とも国民健康保険に加入している場合、別世帯になるとそれぞれの世帯主が保険料を支払うことになり、トータルでは負担額が増えてしまうことがあります。

行政手続きが煩雑になる

住民票取得などを本人以外が行う場合、同一世帯の人であれば簡単に取得できますが、別世帯の場合はその都度、委任状を書いてもらう必要があります。(親が認知症の場合は要注意です)

世帯分離の手続き方法

世帯分離の手続きは、住民票を置いている市区町村の窓口で行います。

※実際に手続きを行う際には、役所のWebサイトで詳細を確認してください。(市区町村により手続きが異なる場合があるため)

届出人

  • 世帯分離を行う本人、または世帯主
  • 上記以外の代理人(委任状が必要)

例えば、長男が世帯主となっている世帯から母の世帯を分離する場合は、母(本人)、長男(世帯主)、それ以外の人(代理人)が届け出を行うことができ、代理人の場合は委任状が必要となります。

※市区町村によっては、同一世帯の代理人であれば委任状は不要としている場合もあります。

届出期間

変更を行った日から14日以内。

提出書類

窓口で「住民異動届(世帯分離届)」をもらい、必要事項を記入して提出します。

持って行くもの

  • 窓口に行く人の本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、健康保険証など)
  • 印鑑
  • 国民健康保険証(加入している人のみ) ※納付通知書などが必要な場合もあり

※本人確認書類は写真付きのものが望ましいです。写真無しのものを持って行く場合は、念のため2つ用意することをお勧めします。

国民健康保険の手続き

国民健康保険に加入している人は、世帯分離を行った後に新しい保険証を交付してもらう手続きが必要となります。

世帯分離の理由

世帯分離は本来、生計を分けて暮らしている世帯が行うものであり、「介護費用の節約のために行うものではない」ということを知っておいてください。(節約のための世帯分離は問題視されていて、市区町村によっては厳格に対応している場合があります)

窓口では「世帯分離の理由」や「世帯の生計状況」などについて確認を受ける場合があるので、手続きを行う際には予めシミュレーションしておくことをおすすめします。

元に戻すことも可能

分離した世帯を、元の同じ世帯に戻すことも可能です。窓口で住民異動届(世帯合併届)をもらい、必要事項を記入して提出します。