介護療養型医療施設(介護療養病床)の概要
サービス内容や入所条件、入所費用などについて。
介護療養型医療施設(介護療養病床)とは
介護療養型医療施設(介護療養病床)は、長期的な療養を必要とする要介護者を受け入れ、医学的な管理の下で、介護、医療ケア、リハビリテーションなどを行う公的施設です。
この施設は医療体制が充実しているため、高度な医療ケアを必要とする人でも入所することが可能です。
「重度の要介護」「認知症」「高度な医療ケア」に対応していますが、療養を目的とした施設のため「終身利用」の対象にはなりにくいです(症状が改善した場合は退所を求められる可能性があります)。
※この施設は2024年に全面廃止の予定です。(その受け皿として2018年に「介護医療院」が創設されました)
入所対象者
65歳以上で「要介護1~5」の認定を受けている人のうち、長期の療養を必要とする人が対象となります。(重度の要介護者が優先されます)
施設の形態
介護療養型医療施設には次の2つの形態があります。
- 療養病床(療養病床を有する病院・療養病床を有する診療所)
- 重度の要介護者を受け入れる医療施設
- 老人性認知症疾患療養病棟
- 重度の認知症を伴う要介護者を受け入れる医療施設
概算費用
介護療養型医療施設は公的な介護保険施設のため、初期費用は不要で月額の費用も低めに抑えられています。また、「特定入所者介護サービス費」の対象施設となるため、低所得の人は食事代と部屋代の負担が軽減されます。(条件を満たしている場合)
初期費用 | なし |
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月額費用 | 7万円~17万円 |
介護療養型医療施設の利用には次の月額費用がかかります。
施設サービス費 + 食費・居住費 + 日常生活費・他
- 施設サービス費
- 介護サービスにかかる費用のことで、利用者は1~3割を自己負担します。この費用は、利用者の要介護度と部屋のタイプなどによって変動します。
- 食費・居住費
- 食費と居住費(部屋代)は全額自己負担となります。居住費は部屋のタイプによって変動します。
- 日常生活費・他
- 日用品代や理美容代などが必要に応じてかかります。
※おむつ代は「施設サービス費」に含まれるため、別途負担はありません。
部屋のタイプ
部屋のタイプは次の4つです。(どのタイプが利用できるかは施設により異なります)
- 従来型個室
- 一般的な個室
- 多床室
- 2~4人で利用する相部屋
- ユニット型個室
- ユニットケアを導入している個室
- ユニット型個室的多床室
- ユニットケアを導入している個室風の多床室(完全な個室ではなく、多床室を間仕切りで区切ったスペースになります)
※ユニットケアとは、10人ほどの利用者で1つのユニットを形成し、各ユニット単位で共同生活を送る仕組みのことです。共用スペース(リビング等)がユニットごとに設置され、それに隣接する形で各部屋が配置されています。
- ※1人あたりの床面積の規定は「6.4㎡(約4畳)以上」となります。
- ※介護療養型医療施設では「多床室」が多くなります。
介護療養型医療施設のサービス内容
介護療養型医療施設では、主に次のサービスを受けることができます。
- サービス内容
-
- 食事の提供
- 食事、排泄、入浴などの介助
- 専門職員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)によるリハビリテーション
- 高度な医療ケア
- 健康管理(健康状態の確認、服薬管理、等)
- 緊急時の対応
- ターミナルケア(終末期ケア)、看取り
※この施設で提供される介護サービスのことを「介護療養施設サービス」といいます。
入所者の多くが重度の要介護者であるため、レクリエーションのようなサービスはあまり提供されていません。
施設サービス費の目安
介護療養型医療施設の1日あたりの基本料金(施設サービス費)は次のようになります。
※施設の形態、部屋のタイプ、利用者の要介護度などにより料金は異なります。
部屋のタイプ[上段] | 自己負担額(1日)[下段] |
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ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 |
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従来型個室 |
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多床室 |
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上記は料金設定の一部のみを掲載しています(実際には条件ごとに細かく設定されています)。また、上記表の「療養機能強化型A」とは職員の配置にかかわる区分のことです。
食事代や部屋代などは介護保険の適用外となるので、それらの費用は自費で負担する必要があります。(費用の目安は基準費用額をご覧ください)
食事代と部屋代を含めた料金のサンプル
参考までに、食事代と部屋代を含めた月額を次の条件で計算してみました。(1ヶ月=30日で計算)
- 施設の形態:療養病床を有する病院、療養機能強化型A
- 部屋のタイプ:多床室
- 食事代と部屋代には「基準費用額」を使用
計算式:施設サービス費(1割負担) + 食事代と部屋代 = 合計額
(食事代 = 43,350円/月、部屋代 = 11,310円/月)
利用者の要介護度[上段] | 自己負担額(月額)[下段] |
---|---|
要介護1 | 21,510円 + 54,660円 = 76,170円 |
要介護2 | 24,450円 + 54,660円 = 79,110円 |
要介護3 | 30,780円 + 54,660円 = 85,440円 |
要介護4 | 33,510円 + 54,660円 = 88,170円 |
要介護5 | 35,940円 + 54,660円 = 90,600円 |
以下は「特定入所者介護サービス費(第2段階)」の適用を受けた場合の月額のサンプルです。
(第2段階:食事代 = 11,700円/月、部屋代 = 11,100円/月)
利用者の要介護度[上段] | 自己負担額(月額)[下段] |
---|---|
要介護1 | 21,510円 + 22,800円 = 44,310円 |
要介護2 | 24,450円 + 22,800円 = 47,250円 |
要介護3 | 30,780円 + 22,800円 = 53,580円 |
要介護4 | 33,510円 + 22,800円 = 56,310円 |
要介護5 | 35,940円 + 22,800円 = 58,740円 |
「高額介護サービス費」の適用を受けた場合は、更に安くなる可能性があります。
※上記の金額は目安としてご覧ください。(各種の加算費用、理美容代、日用品代などは含まれていません)