都市型軽費老人ホームの概要

サービス内容や入居条件、入居費用などについて。

自立 要支援
更新日:2020/01/18
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都市型軽費老人ホームとは

都市型軽費老人ホームは、都市部を対象に設置が進められている小規模な軽費老人ホームです。従来の軽費老人ホーム(ケアハウス)から居室面積などの基準を緩和することで、都市部における設置数の拡大、および利用料の低廉化を図った施設になります。

ケアハウスと比べると居室面積は狭くなりますが、その分、地価の高い都市部であっても比較的低料金(都市部以外の地域と同程度)で利用できるようになっています。

基本、ある程度自立した高齢者が入居する施設となりますが、将来的に介護が必要になった場合には、外部の介護サービス事業者を利用して介護サービスを受けることが可能です(介護サービス事業所が併設されている場合もあります)。ただし、重度の要介護になった場合は施設側で対応できない可能性が高いです。

対象地域

都市型軽費老人ホームの設置対象地域は、原則として次の「既成市街地等」になります。

※主に東京で設置が広がっています。

既成市街地等
  • 首都圏:東京23区と武蔵野市の全域、三鷹市、横浜市、川崎市、川口市の特定の区域
  • 近畿圏:大阪市の全域、京都市、守口市、東大阪市、堺市、神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市の特定の区域
  • 中部圏:名古屋市の特定の区域

入居対象者

60歳以上で、ある程度自立した人が対象となります。

  • ※入居時の条件は施設により異なります。
  • ※多くの施設では「自立」、あるいは「自立~要支援」の人を対象としていますが、中には「軽度の要介護」まで受け入れている施設もあります。

概算費用

都市型軽費老人ホームは、一般的に初期費用はかかりません(施設によっては10万円程度かかる場合もあり)。月額費用については、利用者の収入額によって変動する仕組みが取られています。

初期費用 0~10万円
月額費用 11万円~25万円

都市型軽費老人ホームの利用には次の費用がかかります。

初期費用 + 月額居住費 + 生活費 + サービス提供費 + 日常生活費・他

※介護サービスは外部の事業者と別途契約。(利用した分だけ費用が発生します)

初期費用
一般的に初期費用はかかりません。(施設によっては保証金、または敷金などの形で、入居時に10万円程度の費用が必要となる場合もあります)
居住費(管理費と表記される場合もあり)
居住に要する費用です。(家賃に相当)
生活費
食費、および共用部分の水道光熱費などです。
サービス提供費(事務費と表記される場合もあり)
サービスの提供に要する費用(施設運営の人件費等)です。利用者の収入額により「10,000円~150,000円」程度の範囲で変動します。
日常生活費・他
日用品代、理美容代、おむつ代、専用部分の水道光熱費、レクリエーション費などが必要に応じてかかります。

部屋のタイプ

部屋のタイプは「原則個室」です。

  • ※1人あたりの床面積の規定は「7.43㎡(約4.5畳)以上」となります。(10.65㎡(6.5畳)以上が望ましい)
  • ※参考までに、ケアハウスの規定は「21.6㎡(約13畳)以上」です。

都市型軽費老人ホームのサービス内容

都市型軽費老人ホームでは、主に次のサービスを受けることができます。

サービス内容
  • 食事の提供
  • 生活相談
  • レクリエーション
  • 緊急時の対応

介護サービスを受けたい場合は、外部の事業者と契約して「訪問介護」「訪問看護」「デイサービス」などを利用することになります。

入居費用のイメージ

参考までに、3つのケースを想定して入居費用のサンプルを作成してみました。

  • ※下記の入居費用は、実在する都市型軽費老人ホームをベースとしたイメージです。(日常生活費などは含みません)
  • ※介護サービス費の金額は、利用者の状況(要介護度等)や利用回数などにより異なります。(介護が不要な場合はこの費用はかかりません)

ケース1

首都圏にある都市型軽費老人ホームで、利用者の前年の対象収入額が「1,500,000円以下」の場合。

  • 所在地:首都圏
  • 部屋のタイプ:個室 8㎡
初期費用 0円
月額費用 109,000円 + 日常生活費等
  • 居住費:54,000円
  • 生活費:45,000円
  • サービス提供費:10,000円
介護サービス費 20,000円前後/月

ケース2

首都圏にある都市型軽費老人ホームで、利用者の前年の対象収入額が「1,900,001円~2,000,000円」の場合。

  • 所在地:首都圏
  • 部屋のタイプ:個室 12㎡
初期費用 0円
月額費用 124,000円 + 日常生活費等
  • 居住費:54,000円
  • 生活費:45,000円
  • サービス提供費:25,000円
介護サービス費 20,000円前後/月

ケース3

首都圏にある都市型軽費老人ホームで、利用者の前年の対象収入額が「2,400,001円~2,500,000円」の場合。

  • 所在地:首都圏
  • 部屋のタイプ:個室 10㎡
初期費用 0円
月額費用 149,000円 + 日常生活費等
  • 居住費:54,000円
  • 生活費:45,000円
  • サービス提供費:50,000円
介護サービス費 20,000円前後/月
著者情報

高橋 永治(たかはし えいじ)

介護情報サイト「介護Ways」の運営者。

1996年、自身にとって初となるWebサイトを立ち上げ、98年からは企業向けのWebサイト制作サービスを開始。現在は企業サイトの運営管理、および複数の自サイトの運営管理を行っている。

親が認知症になってからは介護の世界に関心を持ち始め、介護保険制度について調べていくうちに「この複雑で分かりにくい情報を整理したい」という思いに駆られ、10ヶ月に渡る制作期間を経て2020年1月に介護Waysを公開。「簡潔に分かりやすく」がモットー。